Keyboarders

Keyboard

    Doom-Quake系のFPSではマウスとキーボードを併用する方法がプレイヤーたちにより開発*1されました。Doomの前のWolfenstein 3Dではマウスが使えるといっても設定マウス感度の限界やマップの構造上キーボードだけを使う場合と比べ大した利点はありませんでした。Doomで初めてマウサー*2のキーボーダー*3に対する優位は確定し、上下方向の狙いを180°近く自由に出来るQuakeに至ってキーボーダーの不利はどうしようもなくなりました*4。ただ一つ、ゲームメニュー上からは不可能なことですが、Quakeでは設定ファイル*5を編集することでプレイヤーの旋回速度を任意に設定することができ*6、限られた条件*7下ではマウサーに対等以上に立ち向かう事も出来るようになりました。

    またマウサー特有の機動に"circle strafe"と呼ばれるものがあります。左右どちらかのカニ歩き(strafe)キーを押しながらマウスを使って照準をターゲットに合わせ続け、円弧を描いて移動するテクニックで、初心者やシングルプレイヤーゲームのモンスターをやっつけるのに便利なものですが、少し経験を積むか設定ファイルをチューニング済みのキーボーダーにはあまり役に立ちません。キーボーダー時代の私には、敵が非爆発系の武器*8でこれを始めればむしろ「思うツボ」でした。ちなみに「普通の」キーボーダーは左右カニ歩きも使いこなしていましたが、私はキーだけは設定してあったものの、マウサーに転向するまではついにそれらを使うことはありませんでした。つまり平面移動では前後進と左右旋回のみで、照準はあくまでも敵に合わせて(もちろんレイテンシーの分と、武器によっては敵の移動を見越した分を修正して)突っ込んで行くだけ。

    私はもともとゲーム以外でマウスの使用(とくにシステムによるその強要)に対する嫌悪感を持っており、また反射神経が鈍くてどうせ転向してもそう強くはなれまいということ、Quakeを始めた頃にQuakeキーボーダー友の会という仲間がいたこと、友の会ではないですが強いキーボーダーがいたりしたので、その後長い間キーボードにしがみつくことになりました。よく「キーボーダーだって? そんなものは絶滅したと思ってたよ」などと言われたものです。

*1:むろんゲームの制作者がそれを可能としている訳だが、ここではこの機能を有効に活用する各種設定を開発、の意味。左手を前・後・左・右などの動きにあてるなど。これら動作を割り当てるキーとしてASDF,WASD,ESDFなどのバリエーションがある。Quake2か3まで、デフォルトの動作キーセットはテンキーの8462だった。

*2:mouser:マウスとキーボードを併用するプレイヤー。

*3:keyboarder:キーボードのみを使うプレイヤー。

*4:この辺の事情は"House of Mouse"のこのあたりに書かれている。

*5:Quake系ではゲームの可変設定・メニューからカスタマイズした結果がconfig.cfgというファイルに記録され、次回の起動時に読み込まれる。Autoexec.cfgに、デフォルトと異なる部分を書いておけば優先的に読み出され、ゲームメニューやコンソールからの設定変更は書き込まれない。

*6:cl_yawspeed デフォルトで140だが、これでは社交ダンス並以下の優雅な旋回しか出来ない。これを例えば400とかにする。

*7:壁に囲まれた狭い場所ではロケットを敵の背後の壁に当てることで「床撃ち」同様の効果が得られる。また、キーボードによる旋回はマウスと違ってある方向に連続無制限に旋回出来るのでcl_yawspeedを大きくしてあると接近戦(ドッグファイト)でマウサーの背後を取りやすい。

*8:ショットガンやQuakeネイルガン、Quake2のチェインガンやハイパープラスターなど。